2011年12月4日日曜日

(第33号)『悩乱する中国の経済政策と、信頼を回復する日本経済の底力』

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「世の中の真実の姿というのは、日本の新聞を読んでいるとわからない」
という現実を、何度でも強調しなければならないというのは、残念なかぎりですが、
しかし、世の中を正しい方向へ啓蒙していくためには、その事実を繰り返し指摘しなければならないのも、また必要な仕事です。
今回は、12/1にそれぞれ掲載された、英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙と米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙の記事を"とっかかり"として、それを明らかにしてみましょう。



                    中国経済の急速な落ち込みとGDPのニセ報告


同日付けのFT紙は、日本の新聞同様、
「中国政府が、預金準備率の引き下げ(つまり金融緩和)によって、景気刺激策に乗り出した」
と報じましたが、そのあと、日本の新聞には見られなかった「詳細な分析」を展開しました。
確かに、つい最近まで、中国政府は、「物価の抑制」の方に重点を置いていたのは確かで、7月には年率6.5%という物価上昇率をつけ、(しかも中国人が一番好む豚肉が都市部では数十%アップとなって)、
バブルによる家賃の高騰(こうとう)と相まって、庶民の怒りは"爆発寸前"まで来ていましたから、物価の抑制を最優先していたのは、無理なからぬところです。
ところが、ここにきて急に、「来年いっぱいは無いだろう」と思われていた「金融緩和」が突然打ち出された背景には、
「予想以上に景気が落ち込むかもしれない」
という"恐怖"があったというのです。
表面的には、中国の経済成長率は、年率で0.4%(今年第2四半期→第3四半期)しか減速しておりませんが、英国系銀行のエコノミストらは、
「来年前半にかけて、2%から3%落ち込む」
と見ており、それは、
「発電量、貨物輸送量等、別の実態指標を見ていればわかる」
というのです。
確かに、この記事の中ですら、
「中国のGDP(国内総生産)統計は当てにならない」
と、過去の事例にさかのぼって指摘していますが、以前ウィキリークスによって暴露された「中国副首相と在北京アメリカ大使の夕食会の内容」に関する機密の公電によると、
「その副首相自身が、自国のGDP統計を信用しておらず、自分が地方政府のトップをしていたときには、とにかく下から上げてくる統計が当てにならないので、
自分としては「電力消費量」や「貨物輸送量」という実体面の数字を見て判断していた」
と"告白"していましたから、推して知るべしです。
しかし、ここから分かることは、
「景気は悪くなるのに、物価は簡単には下がらない」
という、かつて日本経済も高度成長の末期に経験した、まさに「末期的症状」に、今や中国も嵌って(はまって)いる、ということです。
そして、当時の日本政府が悩乱していたのと同じように、
「どうしたら良いかわからなくて、中国政府も悩乱している」姿が、
手に取るようにわかります。



                                最も魅力的な投資先は"日本"


 ところで、同日付けのWSJ紙は、日本通コラムニストのマイケル・オースリンを起用して、「日本経済のファンダメンタルズ(基礎力)の強さ」を強調する論文を、オピニオン欄に掲載しました。その部分をざっくりまとめると、
「ヨーロッパが内部崩壊の危機に瀕し、アメリカ経済が減速の一途をたどり、中国の経済成長にも懸念が強まっている中で、日本経済が、緩慢ながら成長を続けていることは、日本の総合的安定力を示している」
「今の縮み上がった外為市場の下では、日本の円が、いかに「資産の逃避先」として頼られているか、考えるべきだ。日本経済が、この20年間、無価値のごとく扱われてきたのは、完全に間違った考え方である」
「日本は、引き続き、鉄鋼生産で世界第2位であり、世界の自動車メーカートップ10社のうち4社が日本企業であり、
不良債権を10年で処理した後は、「単純な大規模生産拠点からグローバルに繋がるサプライチェーン(中核技術・機材の供給者)の中軸へと経済の転換に成功し、
中国が低価格品の生産・組み立て・輸出で主導権を握るなか、その陰で着実な進化を遂げて変貌しつつあることに、多くの人は、まだ気がついていない」
「最近、カナダの「フィナンシャル・ポスト」紙が指摘したように、多くの日本企業は、グローバル経済で生き残れるだけでなく、極めて魅力的な投資対象である。
キャノン、ホンダ、武田薬品は、90年以降、株価上昇率が優に100%を超える時期があり、かの著名投資家ウォーレン・バフェット氏も最近初めて来日して、日本企業への数十億ドル規模の投資を考えている旨表明した。
ニューヨーク証券取引所での調査によると、ここでの上場企業の社長(CEO)371人中、4分の1以上が、「日本が、今後の自社の成長にとって、欠かせない存在であり、極めて重要」
と回答している」
そして、ポイントはここからですが、
「問題は、政治の惰性と誤った政策(のみ)であり、これが日本経済を悪化させているのだ。中国経済の成長速度が落ちてきた今、日本政府は、自らの持つ責任について、重大な転換点を迎えている。なぜなら、日本経済の成否は、アジアと世界に大きな影響を及ぼすからだ」
「もちろん、日本企業のトップ達にも責任はある。いまだに彼らは自由化に抵抗しているし、
「文化の違いから、大企業でさえ、未だに外国人幹部の登用に躊躇(ちゅうちょ)している」というのは、彼らの規模、事業展開の広がりから見て、信じ難いほどの"非常識"ではある」
「国全体が内向きになり、海外で学ぶ日本人留学生の数が急減したことも、懸念材料ではある」
しかし、これらの課題を克服し、自らの実力を客観的に(過不足なく)評価すれば、大きなチャンスと未来が待っている、ということですね。
"大いなる将来ビジョン"を持って、頑張りましょう!

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